【考察】レポーティング手数料 激減の可能性

Augurのマーケット上で行われている取引量が現状程度であれば、REP保有者の収入源の一つであるレポーティング手数料(reporting fee)は激減すると思われます。

以下にレポーティング手数料が激減する理由とその影響を述べます。

レポーティング手数料とは

Augurのマーケットでトレードを行った際にいくつか手数料を支払う必要があります。レポーティング手数料はその手数料の一部であり、トレード額に応じて課金されます(単位は[%])。また、支払われたレポーティング手数料はレポーターの収入となります。

詳しくは以下の解説記事をご覧ください。

レポーティング手数料は、手数料期間(fee window)が終了する都度(つまり一週間に一度)Augurによって調整されます。

Augurがこの調整を行う理由は、Augurのフォーク機能を利用した攻撃を防ぐためです(正確には「攻撃を行う経済的合理性を失わせるため」です)。

フォークによる攻撃を防ぐ方法

「フォーク機能を利用した攻撃」とは大雑把に言うと、REPを買い占めて正しくないアウトカムをファイナルアウトカムにすることで利益を得ることです。この場合、攻撃コスト(支出)はREP購入費であり、収入はAugurのマーケットで賭けられているお金(=未決済建玉(open interest))です。

従って「攻撃を行う経済的合理性を失わせる」には、支出>収入、つまり、REP購入費>未決済建玉 とする必要があります。

ではどうやって REP購入費>未決済建玉 とするのでしょうか?

REP購入費>未決済建玉 とする方法

REP購入費>未決済建玉 とするには、「REP購入費を大きくする」And/Or「未決済建玉を小さくする」必要があります。

REP購入費を大きくするには、REP価格を上昇させる必要があります。未決済建玉を小さくするには、マーケットでのトレード量を減らす必要があります。

前置きが長くなりましたが、レポーティング手数料の調整を行うことでこの要件を実現しています。

レポーティング手数料とREP価格・未決済建玉の関係

レポーティング手数料が変動した場合、トレーダーとレポーターの心理状況からREP価格・未決済建玉がどうなるか考えてみます。

【レポーティング手数料が上昇した場合】

トレーダー
マーケットで支払う手数料が増加

マーケットでのトレードに嫌気

トレード量減少

未決済建玉減少

レポーター
レポーティング手数料による収入が増加

REP保有に好感

REP価格上昇

【レポーティング手数料が下落した場合】

トレーダー
マーケットで支払う手数料が減少

マーケットでのトレードに好感

トレード量増加

未決済建玉増加

レポーター
レポーティング手数料による収入が減少

REP保有に嫌気

REP価格下落

結果をまとめると次のようになります。

レポーティング手数料 REP価格 未決済建玉
上昇 上昇 下落
下落 下落 上昇

つまり、REP購入費>未決済建玉 とする(=攻撃を行う経済的合理性を失わせる)にはレポーティング手数料を上昇させれば良いのです。

逆にレポーティング手数料が下落するとREP価格は下がり、トレード量は上昇します。

レポーティング手数料の調整方法

レポーティング手数料の調整は、手数料期間終了時に以下の式に基づいて行われます。

次のレポーティング手数料 = (目標のREP時価総額) / (現在の時価総額) * (現在のレポーティング手数料)

「目標のREP時価総額」は「未決済建玉の7.5倍」です。「現在の時価総額」が「未決済建玉の7.5倍」以上あれば、フォークによる攻撃は経済的合理性を失うことがホワイトペーパーで数学的に証明されています

※蛇足ですが、ホワイトペーパーではフォークによる攻撃が経済的合理性を失うことを「フォーキングプロトコルに完全性がある」と表現しています)。詳しくはホワイトペーパーⅡ.C.時価総額ナッジをご覧ください。

なお、ローンチ直後のレポーティング手数料は 1% が設定されており、変動範囲は 0.01~33.3% です。

レポーティング手数料が激減すると考える理由

冒頭で「レポーティング手数料が激減する」と述べましたが、その理由は現在の未決済建玉が少な過ぎるためです。

執筆している 2018/07/12時点で、未決済建玉は 約200 ETH、時価総額は約392億円です。

5万円/ETHとして、上記の計算式に代入して「次のレポーティング手数料」を求めてみましょう。

次のレポーティング手数料 = (未決済建玉の7.5倍) / (現在の時価総額) * (現在のレポーティング手数料)
= (5万円 * 200ETH * 7.5) / (392億円) * 1%
≒ 0.0019%

下限値 0.01% を下回ってしまいました。従ってこの条件の場合「次のレポーティング手数料」は下限値である 0.01% になります。

もし、「次のレポーティング手数料」を現状の 1% で維持するには
現在の時価総額 = 未決済建玉の7.5倍
である必要があります。

その未決済建玉を求めると
未決済建玉 = 現在の時価総額 / 7.5
= 392億円 / 7.5
≒ 52.3億円

52.3億円は現在の未決済建玉の523倍です。私はこの数字はとても現実的とは思えません。

以上のことから、私はレポーティング手数料が現在よりも下落(しかも大幅に)すると考えています。

レポーティング手数料の下落による影響

前述のレポーティング手数料の変動とREP価格・未決済建玉への影響一覧を再掲します。

レポーティング手数料 REP価格 未決済建玉
上昇 上昇 下落
下落 下落 上昇

この表の通りに物事が動くのであれば、レポーティング手数料が下落した場合、REP価格は下落し、未決済建玉は上昇します。

、、、果たして本当にそうなるのでしょうか?
私は少なくともREP価格が大きく下落することは無いと考えています。

理由は、ローンチする前にも関わらずREPの時価総額が数百億円もあったためです。

ローンチ前のREPには、保有することによる収入や使い道は全くありませんでした(取引所でのトレードを除く)。実用性が全く無いにもかかわらず、Augurに対する期待だけで数百億円もの値が付けられていた状況を考えると、レポーティング手数料が下がったからと言ってREP価格が下がるとは考えにくいと思いました。

むしろ、スズメの涙ほどであっても「REPをステークしたことで収入を得た」という経験が得られれば、今以上にREPを保有することの価値が上がる可能性もあります。

これらを鑑みて最初に迎える手数料期間終了後のREP価格を予想すると、、、プラスマイナスゼロ、現状から変化無しではないかと予想しています。

※あくまで個人的見解です