Augur Master Plan(和訳)

原文:Augur Master Plan

Augurの目的はファイナンスの民主化と分権化です。Augurは、世界中の誰でも、どこでも、いつでも、低コストでのデリバティブの作成と投機を可能にします。Bitcoinが通貨の非中央集権化、Ethereumがコンピューティングの非中央集権化をもたらしたとすると、Augurは金融システムの非中央集権化を可能にするでしょう。
私達は暗号通貨を手に入れ、現在その用途を模索しています。予測市場は、未来に対するより正確な予測、より直接的なヘッジ、投機メカニズムを我々に与え、最終的には過去にハイエクとアロー&ドブリューによって提示された未来像を実現します。

Augurの最初のリリースでは動作は幾分遅く、やや高コストなものになるでしょう(1取引ごとに数ペニー、数秒かかると思います)。しかし、それはこれから起こる素晴らしいことの兆しに違いありません。新技術とはいずれも最初は高コストで、後に最適化されることで低コストになるものです。Augurの長期計画は、すべてのデリバティブ取引を流動性とネットワーク効果で追い抜くことです。しかし、はじめはAugurのマーケットは、高コストまたは制限の多いマーケットとなるでしょう。米国株が欲しい中国人とロシア人、スポーツイベントに今よりもより安価に投機したい人々、何百万ドルというコストがかかることが原因で存在しない新しいデリバティブを作りたい人を想像してください。Augurがあれば何百万ドルというコストを”数ドル”まで下げることができます。

AugurはEthereum上で動くため、仲介は無く、安全に運営するためのコストは最低限なものになります。
Betfair(=英国のオンラインギャンブルサイト)では10%以上の手数料を支払いますが、Augurでは1%またはそれ以下になるでしょう。世界で初めて、信頼を必要とする取引相手が不要、かつ、耐検閲性がありグローバルな取引が可能なプラットフォームとなるでしょう。Ethereumは、あなたが中国人であろうとアメリカ人であろうとロシア人であろうと関係ないため、流動性が本当の意味でグローバル化します。あなたはただ匿名のアドレスがあればよいのです。

先物取引は信頼すべき仲介無しで可能になるでしょう。しかし、セキュリティモデルはBitcoin、Ethereumのそれと似ています(51%攻撃の脆弱性がありますが、万が一の場合はフォークができる点で)。Augurにおけるフォークはとても明確です。なぜならば、現実世界で完了するためです。「バラク・オバマが2012年米国大統領選挙で落選した」などのマーケットで結果が正とされたプラットフォームでは誰も取引したくないでしょう。(訳者補足:Augurでは、レポーターのイベント判定結果に不服がある場合、判定結果に応じてフォークさせることが可能です。例えばレポーターの判定が「オバマが落選した」だった場合、それに不服があれば「オバマが当選した」という判定結果のフォークを作成することができます。フォークしたので「オバマが落選した」というREP(aREP)と、「オバマが当選した」というREP(bREP)が存在することになり、これらのREPが取引所などで取引され、価格が決定することで判定結果を求めるという仕組みです。つまり「オバマが落選した」という事実は発生していないため、aREPを買う人はおらず価格は下がる、対して、bREPの「オバマは当選した」は事実なので価格が上がり生き残る、という仕組みです。なお、フォークには多大な保証金が必要で、この保証金がフォーク乱発の防止になります)
また、Augurではレバレッジが可能です。scalar market(訳者補足:結果を任意の値で指定できるマーケットのこと) を使用すれば効果的にレバレッジを得ることができます。例えば、アップル社株価予想で範囲$150~200のマーケットは、範囲$0~300のマーケットよりもレバレッジがかかっています。
レバレッジ取引は、ベットしたポジションの金額がレバレッジ比率と等しくなります。つまり3:1のレバレッジで1ドル賭けた場合、ポジションが上昇/下落することにより、3ドルの利益/損失となります。これはマージン取引とは対照的です。マージン取引は売買のために借り入れをしますが、実際のところマージン取引は機能的にほとんどレバレッジ取引と同じです。

今年または来年に0xプロジェクトが世に出れば、より高速な取引とダークプール取引(訳者補足:取引所を介さないエンドユーザー間の直接取引)が可能となります。0xは部分的なオフチェーン取引を可能とするため、オーダーの作成、修正、キャンセルのたびにEthereumへトランザクションを発行をせずに高速な注文が可能となります。また、指値注文、成行注文、のコストが減少するでしょう。
これは、ダークプール取引にとってはうれしいサプライズですが、大口顧客は大口注文で価格を変動させたくないため、大口顧客は伝統的な市場で行われるようなダークプール取引を好むでしょう。Proof of Stake はブロック生成時間を約3分の1にするため、取引速度が速くなるでしょう。

初期のAugurのマーケットはETH建です(短期的なトレード/マーケットでは問題ないと思います)が、長期的なイベントの場合、ETHのボラティリティによりそのマーケットのボラティリティが高くなってしまうと思います。結果、このボラティリティの高さ故に損失がでる可能性があります。この問題の解決方法は、マーケットをstablecoin建てとするか、ドルなどの法定通貨に対して安定した暗号通貨を採用することです。Makerdaoはstablecoinの開発に取り組んでおり、我々もまた実際にこれらの一部を使おうとしています(訳者補足:StableCoinは最初のローンチには導入されない予定です。Discordで「Makerdaoはソースが複雑すぎてバグが潜在する可能性がある」との意見があり導入されるかは未定です)。
AugurではUSD/ETH価格予想マーケットを作成することで、大雑把なStableCoin機能が果たせます。一方でETHをロングし、もう一方でETHをショートすればStableCoinとして機能します。Makerがリリースされれば、この方法よりも優れた手段になると思いますが。

また、自動ロールオーバー機能も必要です。この前、この機能を実現するためのコントラクト用インターフェースを書きました。
自動ロールオーバーのアイデアは、例えばETH/USDの未来価格を予想するマーケットで期限が切れてしまい、継続して保持できなかったケースを想定して考え出されました。自動ロールオーバーコントラクトは“ETHE価格は6月末いくらか?”というようなマーケットで注文を行うコントラクトです。6月が終わるとその月のcomplete setを売り、残った資金で7月のcomplete setを購入するコントラクトです。この「先月分を売り、翌月分を買う」という自動ロールオーバー機能で毎月のETH価格予想マーケットに参加でき、疑似ETFのような機能を実現します。ユーザーは、毎月売却と購入を手動で行う必要はなく、一回だけ購入すればよいのです。通常の先物取引のロールオーバーと比較して、complete setの手数料を払うだけであり、手仕舞いや売買によるマーケットの動きによってお金を失いません。

片手間に計算してみましたが、これはより良い取引になると思います。現在の先物ETFのトラッキングエラーよりは全然マシです(原油ETFの上位のいくつかは、現物価格のリターンと比較して75%ものコストが掛かっていました。狂ってますね)。

このパズルの最後のピースは、sharding、raidenを使ったトランザクションの改善です。これらは最も難しい課題です。
トランザクション改善に関連する開発の予想は以下の通りです。

– Proof of stake (開発に約1年、3倍改善)
– Wasm (開発に2年、10倍改善)
– Sharding (開発に3~5年、100倍改善)
– Raiden (開発に1.5~3年、1000倍改善)

これらが実現されれば、世界のデリバティブ市場を奪取可能な、とんでもなくパワフルなシステムを手に入れるでしょう。

まとめ

1. バージョン1 (別名“Buffett”)。クールでプリティ、そして少し高コストなものになるでしょう。
2. 0xを統合したバージョン1.5(別名“0/Zero”)。 部分的なオフチェーン取引が可能となり、取引の作成、修正、キャンセルの注文が素早く行えるようになります。
3. Makerを統合したバージョン2(別名“Soros”)もしMakerがリリースされなければ、別のStablecoinのためにコントラクトの使用/作成方法を説明します。
4. 自動ロールオーバー機能のコントラクトを加えます
5. バージョン3 (別名“Simons”)。sharding/raidenを使用した超高速トランザクション。

デリバティブのキラーアプリ/予測市場のプラットフォームを作るために

Augurの成功には現存システムよりも10倍良いものが必要です。具体的には以下です。

1. 現在のオプション取引(例:betfair)よりも安い手数料
2. 耐検閲性があり、トラストレスなグローバルトレードプラットフォーム
3. 自身でマーケットを作成できる能力
4. 第三者を介在せずに結果を決定できるマーケット
5. Stablecoin (ドルに対して価格が安定した暗号通貨)
6. 高速取引
7. トランザクション改善
8. マージン取引
9. レバレッジ取引
10. 自動ロールオーバー
11. ダークプール